打越氏(内越氏)は、清和天皇及び物部氏族熊野国造系和田氏を源流とし、南北朝の動乱を契機として、河内(甲斐)源氏流小笠原氏(本姓源氏)と楠木正成の弟又は従弟・楠木正家(本姓橘氏)とが姻戚関係を結んで発祥した氏族であり、戦国時代、小田原征伐、関ケ原の戦いなどを契機として出羽国由利郡で勢力を伸ばし、1系統17流(本家3流、分家14流)の系流に分かれながら日本全国へ進出して行った同祖同根の氏族です。現代に残る限られた古文書等から、その歴史的な事跡を明らかにします。

はじめに

 古から「人は氏より育ち」と言いますが、そうは言っても、自分の出自(氏族の歴史)に関心を抱かない人は少ないと思います。日本では平安時代遣唐使が下火になると中国から渡来した「漢字」(真名)とは別に、より平易な「仮名」が誕生して日本独自の文化(物語や和歌等)が華開いて、公家や武家ばかりではなく庶民にも広く浸透しました。これによって寺社等における庶民への「仮名」教育が活発になり、来日したキリスト教宣教師も驚いたと言われるとおり、世界でも有数の高い識字率を誇る国になりました。このような歴史的な背景のもと、様々なことが公式の記録に留まらず、手紙、日記や落書等の文字で記録され、それが大量の古文書等として後世に残されることになりました。しかし、紙媒体は保管が困難で、公家や大名家でもなければ完全な形で家系図等が残されている例は少なく、また、古文書等は矛盾や誤謬等に彩られ、又は諸説に分かれて判然としない部分も少なくありませんが、そのような問題ばかりに拘泥し、歴史の闇に心を奪われていては、永遠に歴史を語ることはできません。そこで、現存する古文書等のうち、図書館、郷土史料館やインターネット等を利用して閲覧が可能な古文書とそれに基づく学術書や市販書等を調査し、ある程度の裏付けがとれた情報に加え、それだけでは足りない部分については歴史ロマンを膨らませながら、大凡、このとおりであろうというレベルで打越氏(内越氏)の家譜をまとめました。
 小職は歴史学を専門的に学んだ経験がない素人であり、歴史事実を見極める詰めの甘さから、軽率な物言いなどが目立ち、諸兄姉の失笑を買う可能性を否めませんが、それでもなお、打越氏(内越氏)の末裔が自分の出自を調べたいと思ったときに、多少の手掛りや慰めとしてお役立て頂ければという想いから公開に踏み切る決意をしました。あくまでも、そのような趣旨で公開するものであり、学術的に価値のある研究等に資することを目的とするものではなく、また、生業の傍ら調査に割くことができる時間も限られており、いい加減に始末(断念)せざるを得なかった問題も少なくありません。当然に確認しておくべき古文書等も十分に調べ尽くせていないのが現状ですが、天から与えられている時間には限りがありますので、このWEBに含まれている誤謬等は、打越氏(内越氏)の末裔や好事家の皆様による歴史事実に迫る真摯で批判的な検証に期待し、それら有志の皆様のご厚意に甘えたいと考えております。今後も、可能な限り、新しく判明した事実に基づいてこのWEBの更新を試みたいと考えておりますが、何か誤謬等がございましたら、小職までご一報を頂ければ幸甚に存じます。
 最後に、小職の未熟な調査にお付き合い頂き、不躾なお願いにも快く応じて下さった各地の図書館司書、郷土史家、寺院・霊園関係者や打越氏(内越氏)の末裔の皆様に対し、この場を借りて心から感謝を申し上げます。なお、このWEBは、電子書籍BOOK☆WALKERGoogle Play ブックス)でも頒布しております。
 

2018年10月2日

後醍醐天皇即位700年、北畠顕家生誕700年、明治維新150年、そして小職生誕50年を記念して

打越 武志(楠木同族会会員

 
【補遺】
このWEBは、小職が個人的な歴史認識に基づいて執筆したものであり、その全部又は一部が楠木同族会としての見解を示すものではなく、楠木同族会とは一切の関係がないことをお断りさせて頂きます。 
 
 
第5版の公開にあたって
 
 2018年10月2日にこのWEBサイトの初版を公開してから3年が経過しましたが、折しも、テレビ番組や雑誌等において名字の由来に関する特集が目立つようになり、空前の名字ブームと呼ぶべきような社会現象が続くなか、当初の予想に反して、打越氏(内越氏)の末裔のみならず数多くの方にこのWEBサイトをご愛読頂く機会に恵まれました。また、国立国会図書館、各地の県立図書館や地方図書館、大学図書館等に本書が蔵書され、このWEBサイトを公開した当初の目的を概ね達成できたことは、一重に読者及び関係者の皆様のご理解及びご尽力による賜物であり、この場をお借りして心から感謝を申し上げます。
 この3年間、数多くの方のご協力により、打越氏(内越氏)の家譜に関する調査が進捗し、どこまでが分かり、どこからが分からないのか、その輪郭が明確となってきたところで、今一度、全体を俯瞰しながら、新しく判明した系流や事実等を加筆し、かつ、旧版に含まれていた誤謬等を訂正して、今般、このWEBサイトの第5版を公開する運びになりました。
 一般に、祖先供養とは、祖先の墓や位牌を拝んで祖先の冥福を祈ることを言いますが、いつまでも祖先のことを忘れずに感謝の気持ちを持ち続けることが、祖先から受け継がれ、子孫へと受け継いで行く「命」を愛しみ、祖先の生き様を縁として自らを律し、人生を無為にしない生き方を心掛けるうえで、精神的な支えになり得るものと考えます。「命」という漢字は「跪いて神意を聞く人」を意味していますが、病気、事故や災害等で祖先の命が奪われる悲しみや子孫の誕生で新しい命を授かる喜びなど、人間の意志ではどうにもならない「命」の始まりや終わりについて神様や祖先に祈る人間の姿を表し、神聖な右掌(命の源である食物を運ぶ掌)と不浄な左掌(命の源となった食物の残骸を拭う掌)を合せて神様や祖先を拝むこと(合掌)で、自らの全てを神様や祖先の前に曝け出し、その意向に委ねることを意味しています。その意味で、家譜は、祖先の生き様に触れながら、果たして自分が自らの全てを祖先の前に曝け出すことができる恥じない生き方ができているのかを、常に自らに問い掛ける契機となるものであり、それが単なる好奇心に留まらず、家譜に関心を持つ重要な意義の1つであると考えます。
 今後も、このWEBサイトが一人でも多くの方に自らの祖先に関心を持ち、自らの家譜を調査してみようと思い立つ契機になれば、著者にとって望外の喜びです。
 

2021年10月2日

 

新型コロナウィルス感染症パンデミック禍にて

打越 武志(楠木同族会会員

 
 
★出版のご案内
BOOK☆WALKER<第5版/373ページ/カラー/無料
Google Play ブックス<第5版/373ページ/カラー/無料
PDF<第5版/373ページ/カラー/無料
 
f:id:bravi:20210723174043j:plain
 
※新コンテンツへの更新方法(旧コンテンツ購入者)
BOOK☆WALKERの更新方法
❶旧コンテンツを開く ➡ ❷更新案内が表示 ➡ ❸新コンテンツ更新
❶旧コンテンツを削除 ➡ ❷新コンテンツ更新
 
③所蔵図書館(2021/09/15現在)※北から順に
国立国会図書館(東京本館・関西館)、東北大学附属図書館、弘前市立図書館、秋田県立図書館、由利本荘市立図書館、石川県立図書館茨城県立図書館、茨城県立歴史館、長野県立図書館、浜松市立図書館岐阜県立図書館、大阪府立図書館、河内長野市立図書館、富田林市立図書館、四条畷市立図書館、奈良県立図書館、大和郡山市立図書館、和歌山県立図書館、和歌山市民図書館、新宮市立図書館、田辺市立図書館、神戸市立中央図書館、淡路市立津名図書館、鹿児島県立図書館 等